わたしは、料理をする栗谷くんを見る。
端正な顔立ちにイラッとしてしまう。
イケメンだからって、なにいっても許されると思わないでよね!
そういいたいけど、小心者のわたしには無理。
そもそも、もっとハッキリきっぱりといえる人間なら、あの時もいい返していた。
そう、あの時は、本当に腹が立ったな。
わたしは、あの時のことを、ムカムカしながら思い出す。
よく寝てよく食べる、中学生のお手本みたいな育ち方をした、わたし。
好き嫌いは特になし、常にばっちり八時間睡眠。
そのおかげか、肌の調子も髪の毛のつやも良好なわたしは、もちろん耳の調子もとても良い。
そんな調子の良い耳が、聞き逃すはずがなかった……。
「紗藤、よく食うなー」
その言葉は、間違いなくわたしに向けられていた。
だってわたしはまごうことなき紗藤だし。
このクラスに同じ苗字はいない。
それをいったのは、栗谷拓人。
栗谷くんは、クラスの女子からはイケメンイケメンといわれ、拝まれている。
実際に栗谷くんは、目立つ見た目だ。
十三歳には見えない幼い顔立ちはアイドルみたいにキラキラしていて、スラッとしているけど細すぎず適度に筋肉がついている体型。
だけど、わたしにはイタズラっ子な小学生にしか見えない。
栗谷くんは、見た目は良いのかもしれない。
声は、認めたくないけどわたし好みだし……。悔しいけど。
でも、性格は……正直にいえば悪い気がしている。
そんな性格が悪い人と、中学での初めての席替えで隣の席になるなんてツイてない。
くじ運は良いほうだと思ってなかったけど。
まさかここまで悪いとは……。
二学期早々、ツイてない。
隣の席になってそうそう、「紗藤ってB小? おれA小出身だから敵同士だな」とかいってきた時から、嫌な感じだなとは思っていた。
あれから一週間。
なにかとからかってくる。
「なんでそんなに消しゴム落とすんだよ。ドジすぎ」
「え? 紗藤、小テスト……もっと勉強しろよ……」
「イチゴミルクが好きとか、まだまだ子どもだなー」
などなど。
栗谷くんにいわれた嫌味な言葉は、数えきれないほどある。
ちなみに、わたしが栗谷くんに変な絡み方をしたり、先に嫌味をいったりしたわけではない。
一方的に絡んでくるのだ。
いじめというほどでもない。
ただただウザい存在。
それが栗谷くん。
そして、そんなウザい存在は、わたしのお弁当をまじまじと見てハッキリとこういい放つ。
「あんまり食うと太るぞ」
ぐっさり、とその言葉はわたしの胸に突き刺さった。
端正な顔立ちにイラッとしてしまう。
イケメンだからって、なにいっても許されると思わないでよね!
そういいたいけど、小心者のわたしには無理。
そもそも、もっとハッキリきっぱりといえる人間なら、あの時もいい返していた。
そう、あの時は、本当に腹が立ったな。
わたしは、あの時のことを、ムカムカしながら思い出す。
よく寝てよく食べる、中学生のお手本みたいな育ち方をした、わたし。
好き嫌いは特になし、常にばっちり八時間睡眠。
そのおかげか、肌の調子も髪の毛のつやも良好なわたしは、もちろん耳の調子もとても良い。
そんな調子の良い耳が、聞き逃すはずがなかった……。
「紗藤、よく食うなー」
その言葉は、間違いなくわたしに向けられていた。
だってわたしはまごうことなき紗藤だし。
このクラスに同じ苗字はいない。
それをいったのは、栗谷拓人。
栗谷くんは、クラスの女子からはイケメンイケメンといわれ、拝まれている。
実際に栗谷くんは、目立つ見た目だ。
十三歳には見えない幼い顔立ちはアイドルみたいにキラキラしていて、スラッとしているけど細すぎず適度に筋肉がついている体型。
だけど、わたしにはイタズラっ子な小学生にしか見えない。
栗谷くんは、見た目は良いのかもしれない。
声は、認めたくないけどわたし好みだし……。悔しいけど。
でも、性格は……正直にいえば悪い気がしている。
そんな性格が悪い人と、中学での初めての席替えで隣の席になるなんてツイてない。
くじ運は良いほうだと思ってなかったけど。
まさかここまで悪いとは……。
二学期早々、ツイてない。
隣の席になってそうそう、「紗藤ってB小? おれA小出身だから敵同士だな」とかいってきた時から、嫌な感じだなとは思っていた。
あれから一週間。
なにかとからかってくる。
「なんでそんなに消しゴム落とすんだよ。ドジすぎ」
「え? 紗藤、小テスト……もっと勉強しろよ……」
「イチゴミルクが好きとか、まだまだ子どもだなー」
などなど。
栗谷くんにいわれた嫌味な言葉は、数えきれないほどある。
ちなみに、わたしが栗谷くんに変な絡み方をしたり、先に嫌味をいったりしたわけではない。
一方的に絡んでくるのだ。
いじめというほどでもない。
ただただウザい存在。
それが栗谷くん。
そして、そんなウザい存在は、わたしのお弁当をまじまじと見てハッキリとこういい放つ。
「あんまり食うと太るぞ」
ぐっさり、とその言葉はわたしの胸に突き刺さった。