「あ、あの何か……」
「いや、かわいいなと思って」
「か……! 私なんかがそんなわけ、熱っ」

冷静を装って汁をすすろうとしたら熱くて飛び上がった。

「大丈夫か? 水を持ってくる」

自分のドジさにがっかりしながら持って来てもらったグラスに口を付けていると、社長が微笑んだ。

「意外だったな。綿貫さんは仕事はできるのに、プライベートでは隙だらけなんだな」
「……社長こそ意外でした」
「意外? どこがだ?」
「すべてがです」
「そうか?」

微かに眉を上げると、社長は声を低ませた。

「じゃあ、もっとおたがいを知りあえばいいんじゃないか? 中身のことも」
「中身?」
「まぁ、俺は今すぐにでも君の体を楽しみたいけどな」

 意地の悪い笑みをされて、私は顔を赤らめた。

「安心しろ、今夜は抱かない」

思わぬ言葉が出て、私は社長を見つめた。