「君もあの噂を信じているのか? 言っておくがあれは社員たちが好き勝手に立てた根も葉もないことだからな」

 と言われても私は女性と揉めている現場を見てしまったし、今日の電話だって気になる。

 何より私に強いてきた関係を考えると、社長の女性関係を疑わざるを得ないけれども……。

「さぁできたぞ」

そんなことを考えていたら、熱々のかしわうどんが運ばれてきた。

出汁の利いたいい香りに食欲が抑えられなくなる。

「ありがとうございます、いただきます」

ふうふうとしてから麺をすするなり、私は感激した。

「すごくおいしいです!」
「それはよかった」

つい夢中で食べていたら、視線を感じてはっとなった。
社長が頬杖をついて微笑んで私を見ていたからだ。