私が顔を赤らめていると、社長が言った。

「酒を飲まないということは、もしかして今夜のメニューじゃ腹の足しにならないんじゃないか?」
「いえ、そんなことは……!」
「てっきり君が酒好きだと思い込んでいたからすまない。何か作ってやろうか」

社長が私に手料理を!?

遠慮するもの、社長はYシャツの腕をまくってキッチンへ向かう。

「食材はあまり常備していないのでたいしたものは作れないが、正直俺ももう少し腹の足しになるものを食べたかったんだ」

そう言われてしまえば断れない。

イケメンがキッチンに立つ姿を私は見守ることになった。

手際がいいのを見て、もしかして私より料理上手かもと思っていたら社長が苦笑いした。

「あまりじろじろ見られると気になるな」
「すみません、社長が料理されるなんて意外で」
「一人暮らしは長いんだ。簡単なものくらいなら作れよ」
「いえ、作ってくれる女性がいるのかと。たくさん」

社長は軽く溜息をつくと苦笑した。