「気に入ってくれてよかった。でも酒は全然飲んでいないな。何か別の物を開けようか?」
「い、いえ、大丈夫です。お酒あまり飲まないので」

社長は驚いたように眉を上げた。

「そうなのか? 前回飲んだ時は酒好きなのかと思ったが」
「あれは……つい自棄飲みしちゃったので」
「自棄飲み?」

社長は口元に手をやると真剣な眼差しで私を見つめた。

「何か悩みがあるのか? 仕事ぶりは相変わらずいいし問題ないように見えるが」
「仕事は大丈夫です。社長にご迷惑おかけするようなことは一切ありません」

今日はついケアレスミスをしてしまったけれども、秘書業務は好きなのでそれは胸を張って言える。

「ならよかったが」と社長はなおもじっと私を見る。
色気のある切れ長の目に視線を注がれ、私はドキドキと緊張を覚えた。