シャンパンは美味しかったけれども、舐める程度に口を付けただけでグラスを置いた。もう酔いたくはなかった。

オードブルも勧められて口にする。

クラッカーのようなものの上に白見魚とソースそして黒い粒……おそらくキャビアが乗っている。
食べると味わったことのない旨味が口の中に広がった。

「おいしい……」

思わず感想をこぼすと社長が笑った。

「よかった。遠慮しないで食べて」

夕食をとらないで来たのでお腹はぺこぺこだった。

お腹が鳴ってしまったら恥ずかしいので少しずつ口につける。

魚、肉、野菜を丁寧に調理した料理はどれも美味しくて一品ごとに感激してしまった。
そんな私を面白がって社長もどんどん勧めてくるので、ついたくさん食べてしまった。