「……うるさいな」

私の叫び声に目を覚ました社長が引き締まった上半身をむくりと起こした。
そして魂が抜けたようになっている私を見るなり、薄い唇の片端が微かに上がるだけの色気ある微笑を浮かべて寝起きの掠れた声で言った。

「おはよう。昨晩はどうも」

私、取り返しのつかないことをしてしまった?

背中から血の気が引くのに反して、私の脳裏に怒涛の勢いで昨晩の記憶がよみがえってきた。