「知らなかったな、君がこういう趣味だとは。しかもこんなに渋いキャラが好みだったとは」

社長はベッド横のサイドボードに立てていたベルト様のフィギュアを手に取ってしげしげと眺めた。

私はもうパニックになって社長の腕を掴んだ。

「お願いですから、このことは誰にも言わないでくださいっ!」
「誰にも? 会社の人間にか?」
「そ、そうですっ」
「そうだな、君がこういうもの夢中だと知ればみんな驚くだろうな。なら取引しないか?」
「は?」

社長はにぃと口の片端だけを上げた。
会社では見たことのない軽薄としたその笑みに、私は胸騒ぎを覚える。

「俺と関係を続ければ黙っていてやる」
「関係……?」
「わかるだろ?」

わざと声を低くして、社長は私の腰を抱いた。