「そういえば取引先から来週の打合せについての資料が来ておりました。社長のPCに送っておきますね」

しかし社長は自分のデスクに戻ることなく私の前から離れなかった。

「そういえば、君が来てもう半年は経つな」
「ええ、早いものですね」

唐突に何を言い出すのだろう。

「たまには一緒に食事でもどうだ? 君の慰労を兼ねて」
「え」

思わず社長の顔を凝視した私に、彼は微笑を浮かべた。

「君はいつもよくやってくれていて俺も助かっているからな。美味いものでもご馳走したい」

えー! と心の中で大絶叫したものの、社長じきじきのお誘いを断るわけにはいかなかった。

私は笑顔を作って快諾するしかなかった。