「友達は?」

私は黙る。

いつも、学校では本を読んでばかりで、終わったら即帰る生活を送っていた私に、友達と言えるような存在は居ない。

「佐那さ、クラスメイトの名前、全部言える?」

唯織は急に優しい口調になって尋ねる。

心配されていることが分かった。

「一応、名前は」

「クラスメイトと話したことある?」

「事務連絡くらい」

自分で話していて、どれだけ孤独なのかを体感する。

「じゃあ、俺からの今日の宿題!」

私をのぞき込んでいた顔を急に上げる。