「死ぬの?」

急に自分でない人の声がして、後ろを振り向く。

そこには見知らぬ同世代くらいの男の子が立っていた。

「死んじゃうの?」

「あ、えっと」

あまりに穏やかな顔で聞かれるから、こっちが焦る。

「どうせ死ぬならさ、俺とおしゃべりしない?」

死ぬ、なんて言葉が出ている気がしない。

そのくらい軽い調子だった。

「俺、唯織。高3。君は?」

深夜の街で、急に話しかけてきた知らない男子高校生。

普通に考えたら怪しいけど、なんとなく、唯織のことは信用できる気がした。

「…佐那。高校1年」