塾帰り。

深夜の駅前はまだ人が多くてまぶしい。

騒がしい人々を横目に住宅街に入っていくとさっきの風景とは真逆の静かな世界が広がっている。

「はあ」

古い歩道橋を上って、手すりによりかかった。

下には車が数台、静かに過ぎ去る。

今日も一日、生きた。

生きづらいこの世界を今日も耐え抜いた。

私は、学校にも家にも居場所はない。

不干渉な母親と学歴至上主義の父親。

学校の人たちは私になんて気にも留めない。

どうせ私を待っていない両親がいる家に帰るのは惨めだった。

下を走る車をのぞき込む。

このまま落ちたら死ぬんだろうか。