ドキドキしていた心臓が大きく揺れ、
その一言で体の熱が全身に回る


他の人に名前を呼ばれても
絶対こんな気持ちにならないのに
先輩だけはやっぱり全然違う


何年経ってもこんな気持ちになるのは
この人だけだ‥‥


絶対離してくれそうにもないので
暫く一緒にウトウトしていたら
寝息が聞こえて来たので
隙を見てそっと抜け出した私は、
静かにデスクに戻り途中だった文を
繋げてみることにした




うーん‥‥



なんとなくいいところまで来てて
何かいい言葉が出そうなんだけど
なんな出てこないの繰り返し。


ちょっともう一度
白樺について調べてみようかな‥‥


静かに席を立ち本棚へ向かい、
本を色々見ていた


瀬木さんが好きな本以外にも
資料として集めてきた本たちだから
本当に図書館のようだ


あった!!


植物、木、花まで乗っている
太めの本を見付けて座り込むと
早速そこから白樺を探した


スマホ使ってもいいんだけど、
真実じゃない言葉に翻弄される
事もあるから本が一番。


調べていくとすぐに
見つかったページに
目を凝らす


「(………………えっ?)」


そこに書いてあったことに
さっきまで全く出てこなかった言葉が
頭にすっと浮かんで来る



〝あなたを待つ“


これ‥‥瀬木さんの言ってた
白樺の花言葉だ‥‥‥


花言葉の中に見付けた言葉と、
瀬木さんの書いた二人のの人物を
心の中に思い描いてみた



私が今やれるだけは考えた。
あとは瀬木さんたちに見て貰おう‥‥
これでダメでも後悔はない。


その日の午後


『先生、暫く時間を下さい。』


『日和ちゃんと出掛けて来いよ』


『ん、立花ちょっと来て』


原稿を見事に日にち内に
仕上げた瀬木さんは、
二人にさっさとそれを渡した後、
私と仕事部屋に向かった


カチャ



『見せて』


「…………うん」


ベッドに腰掛けた瀬木さんに
伏せてあった写真に
メモをクリップで止めてあったものを
持っていきそっと渡した


どうしよう……
手が震えてる‥‥



瀬木さんの綺麗な指がそれを受け取ると
心臓がドクンドクンとどんどん早くなり
静かな空間に聞こえてそうで
胸をおさえた



「(落ち着け。駄目でもいい。
 さっきそう決めたじゃない。)」


瀬木さんを見てると心臓に悪いから、
見えないように窓辺から
ウッドデッキに移動した


白樺の木が沢山群れをなして
高く真っ直ぐ伸びているように
私も俯かずに真っ直ぐ立ってたい




『立花』


ドクン