昨日瀬木さんが言ってた事って
多分この事だ……


恋について考えていたら
あの6年前の事が色々頭に思い浮かんだ


書いた記憶がないからきっとこれは
無意識に書いてしまったのだろう



"尾田先輩との悲しい思い出"‥と。


そう書かれた文字を
消しゴムで綺麗に消していく


昨日までは本当に
悲しくて切ない気持ちだったし
忘れちゃいけないからこそ、
あの気持ちはこのまま
大切に今度は胸にしまおうと思う


ここに来るまでには
ツラくても私には必要だった
事かも知れないから。


将来の私に出版社の仕事が
出来るかはまだ分からない


ただ、
ダメでも大好きな本に関わりたい。
そういう思いで、北海道をでで
兄を頼りにここまでやってきた



和木さんや高城さんが来たら
色々お仕事のこと聞いてみようかな……



開けてある窓から
心地よい風が流れる部屋で
課題を悩みながらなんとかこなしていく



「(……とりあえずは出来たかな……)」


20問をなんとか解いた私は
時計に目を向けた


まだあれから
2時間しか経ってない……


熟睡する瀬木さんを
2時間じゃさすがに起こせない私は、
大学のレポート資料の本を探しに
静かにあの本棚へと向かった


歴史といっても幅は広い


1.2年の時にはテーマがあったから
それの資料を大学の図書室で探して
何とか書けたけど、纏まりが悪くて
評価はあまり良くなかった


3年目に出されたレポート課題は
海外の歴史というアバウトな課題



何列目か過ぎたところで
見つけた洋書を手に取りながら
まずは国から決めないといけないなと
考え始めた



そう言えば‥‥‥
安藤くんはレポート内容は
どうするんだろう


歴史得意だって言ってたし
ある程度纏めるだけにして
帰ったら聞いてみようかな



風が木々の間を揺らしている
音が心地よくて、暫くそこで
気になる本を読んでいた