日頃の癖ですっかり家事が
身に付き始めた私は、
カウンターにいた仲さんに聞いてみた


『そんな、お客様ですから』


「あ、私そんなんじゃないんです。
 瀬木さんの家で雇ってもらってる
 アルバイトなんです。」


胸の前で両手を振り
全力で否定する

アシスタントとして
来てるってことはバイトとしてだし
やれることはやりたい


『そうだったのね。
 うーん‥‥それじゃあ今日は
 話し相手になってくれないかしら』


「えっ!?
 ふふ‥‥…そんなことで良ければ
 喜んでさせてください。」


『美味しいカフェオレ付けるから』


「私甘いの大好きです。
 ありがとうございます。」


まるでお母さんのように笑う
仲さんに甘えて
カウンターに腰掛けた


飲んだことないくらい
美味しいカフェオレを
淹れてもらった私は、
作り方を帰るまでに
覚えたいと思えた。


『立花さんはまだ大学生なの?』


「はい、まだ3年生です」


『そう、隼人くんの2つ下なのね。
 あの子が大学生の時から
 ここで本を書き始めたの。
 今となっては作家になってるなんて
 驚きよね。』


そんなに早くからここで?


確か高校生の時に書き始めたって…


『今回こんなに大勢で
 いらっしゃるのは初めてですよ。
 毎年、隼人君と出版社方だけなので
 賑やかで嬉しいですよ。』

ガチャ


『仲さんコーヒー淹れて』


ドクン


隣の椅子に腰掛けた瀬木さんは
すでに疲れてるのかとても眠そう


仲さんに先輩のこと
聞けそうだったのにな……


『何飲んでるの?』


「あ、仲さん特製のカフェオレです」



笑顔でカップを持ち上げて見せれば
瀬木さんも小さく笑ってくれた。


眼鏡をかけてるってことは
まだ仕事の途中かな……


本を書きに来てるから
当たり前なんだけど、
前みたいに倒れないか心配だ



『熱いから気をつけてね。』


『ん、ありがと。』


瀬木さんってコーヒー好きだなぁ
しかもいつもブラック。


私は苦いのは飲めないから
こういうのがサラリと飲める人が
羨ましいしカッコイイと
思ってしまう


「瀬木さん、そういえば
 私はここで
 何をすればいいんですか?」


今までは、
書籍に必要な資料や写真を集めては
渡すことが多かった


やってほしいことって
何か気になっていたし、
レポートも一つクリアしたから
余裕があるうちに
聞いておきたいのだ。



『実は、今回は
 立花に一ページ任せようかなと
 思ってる』


ん?

ええっ!!!!!?