「起き上がれますか?」


体を支えながら瀬木さん起こした後、
私の方へと体を預けさせ、
ペットボトルを口元に当てた


瀬木さんの体温が伝わる‥‥
どうしよう‥まだかなり熱い‥‥


勿論距離が
近いからっていうのもあるけど、
吐息や鼓動もダイレクトに伝わってくる


普段なら絶対こんなこと
進んでテキパキ出来ないけど、
今は私しかいないからやるしかない


ドキン


私が持つペットボルトの上から
添えられた熱い掌に
胸が締め付けられる。


目もかなり充血してるし
やっぱりツラそうだよ‥‥


瀬木さんは大丈夫って言うけど
やっぱり救急車‥


ピンポーン


もう一度ゆっくりと
瀬木さんに水を飲ませていた私に、
訪問を知らせる
インターホンのチャイムが届く


お客さんかな……



「瀬木さん、お客さんみたいなので
 私出てきますから体寝かせますよ?」


『……くな』


えっ?


何か聞こえた気がしたけど
背中に手を回して
体を横たわらせる


ピンポーン


まただ……


仕事関係だと困るし
とりあえず行ってみよう


『立花‥‥行くな……』


ドキン

立ち上がろうとする私の手首を
熱い掌が少しだけ
力強く包んで離さない


「でも……」


『いいから……
 ここにいて』


ドキン


何度も吐息を漏らす瀬木さんを見て、
不謹慎にもずっと閉まっておいた
気持ちが揺らいで焦る


「わ、分かりました。
 じゃあ…瀬木さん汗かいてますし…
 その‥‥‥き、着替えれますか?」


キレイな顔が苦しそうに眉を寄せる


………仕方ない。

寝かせた後
震える手で目の前のシャツのボタンに
手をかけるけど躊躇してしまう


どうしよう……
緊張でどんどん震えて
上手く外せないよ


こんなこと初めてだけど、
体も汗かいてて
着替えないと気持ち悪いだろうし
クーラーで冷えて絶対寒くなる。


瀬木さん自分で
出来る状態じゃないし‥‥





『あれ、もしかしてお邪魔だった?』


「えっ?…‥…ええっ!!!?」