静かな音と共に開いたドアに
振り返るけど誰もいないよね?


暫く様子を見てても
誰も出てこないってどういうこと?


恐るおそる
近くに寄り開かれたドアを
ゆっくりと開ければ、
視界に入ったのは足元に
見えたキレイな手だった



「……ッッ!!瀬木さん!!」


手だけで誰かなんてすぐに分かる。
ずっと遠くからみてた
憧れの人の手だから絶対間違えない‥


乱暴にドアを開けて部屋に入ると、
そのすぐ横でぐったりと座り込む姿に
慌てて屈んで覗き込んだ



「ツッ!…瀬木さん!!聞こえますか?
 瀬木さん!!」


どうしよう‥‥酷い汗……


こんなに暑いのに、
クーラーをいれてないのかは
様子を見てすぐに分かった


「やっぱり…………酷い熱
 瀬木さん!!?
 救急車呼びますから!ね?
 待ってて下さい」



『……いい…それより…おかえり。』


うっすらとだけ開いた瞳が
いつになく辛そうで仕方ない


「……大丈夫じゃ……ない‥
 とりあえずベッドに行きましょう?」


こんなときに、
こんな苦しいのに、
私の大好きな優しい顔で
おかえりなんて言わないでよ‥‥


私よりも大きな体を何とか支えて
ベッドに寝かせた後
すぐにリビングにかけ降りた。


何か冷やすもの……‥


冷凍庫を開ければ、
あるはずないと思ってた
アイスノンが
あったことにホッとして、


大きめのボールに
氷と水を入れてから
アイスノンとタオルを数枚かかえて
2階へまた急いだ




「瀬木さん…
 ちょっと頭動かしますよ?」


枕と瀬木さんの頭の間に
アイスノンを入れおえた私は、
氷水で濡らしたタオルで
滲んでた汗を何度も拭いていく


それにしても‥

この部屋暑すぎる‥‥


焦ってる私は額にも汗が滲むし
首元を伝う汗も感じてる


これだけ熱が上がってるなら
もう寒くないといいけど‥


一度軽く換気をしてから
リモコンを探して
クーラーを少しだけ入れた



「……やっぱり病院行きましょう?」



また少しだけ開けられた瞳が
さっきよりつらそうで、
私が泣いてしまいそうになる


『……寝不足と疲…れ。よくある‥から
 悪いけど……水欲しい』



「ツッッ!!‥‥待ってて下さい」


冷蔵庫まで行き
ミネラルウォーターを取り出して
すぐに部屋へ戻った