瀬木 遥 side


『………ん』


あれから‥寝てたのか……?


昨日の夜から
殆ど寝ずに書き上げてたから
いつ寝たのかも分からないくらい
ぐっすり寝た気がする‥‥‥


毎回、締め切りの時は気が滅入るのに
立花がいてくれたからか
これでも今回はかなり
気分はラクだった。



『ん………何で……ここに‥‥』


あ………俺のせいか……


立花の手首を掴んだままの
手をそっと離すと
スヤスヤ眠る彼女を起こさないように
そのままそっと寝かせた


伸ばしかけだろうか‥
目にかかった前髪をそっと撫でれば
眉間に小さく皺がよせられていく



そう言えばアイツらは?


テーブルに置かれたメモを手に取ると
立花の横に静かにまた腰掛けた


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瀬木先生、原稿読みました。
何ヵ所か修正ありますので
起きましたら連絡お願いします。
再校が終わりましたら
メールで送ってください


※二人ともぐっすり眠ってましたので
このまま帰ります。
ケーキご馳走様でした。
次回は恋愛物の提案をそろそろさせてください
高城 和木
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『(ったく……起こせよ。)』


クシュ‥‥‥


その時隣から小さく聞こえたくしゃみに
思わず抱きしめたい気持ちを抑えて
そっと頬に手を触れさせた。



『………変わってないな。』


一度部屋に戻ると
柔らかいコットン素材のブランケットを
手に取り彼女にそっと掛けた


こんなにも安心した顔を
俺に見せたのはここに来て初めてだな‥


少しだけあの頃より
大人びた顔を撫でてから
ベランダに出て眠気を覚ました


立花‥‥‥‥
君は今何を想う‥‥


ここにいてツラくないだろうか‥‥


文句一つ言わずに
働いてくれている立花の
本当の笑顔が早く見たい‥


そしてあの時の気持ちが知りたい。


その時がきたら自分の気持ちを
どこまで冷静に伝えられるだろうか


瀬木side 終