「‥‥‥んっ」


気怠さに目を開けると、
まだ薄暗い世界に
愛しい人の寝顔が見えた。


‥‥また寝ちゃったんだ。

暖炉の火も消えちゃってるかな‥‥


どれくらい眠ったか
分からなかったけど、
ベッドの中は暖かくて
今は出られそうにもない


隼人くんの寝顔なんて何度も見てるのに
本当に安心する


『‥‥ん‥‥起きた?』


「うん‥‥まだ隼人くんは寝てて。
 私暖炉つけてから
 お風呂を入れてくるから。」


裸なのは起きた時に気付いていたので
床に散らばってるだろう
服を拾おうとして
ベッドから起き上がると
愛しい人の腕に引っ張られ
呆気なく元の位置に戻った


『俺が行くよ‥‥
 日和は服着て寝てて?
 寒いからお風呂一緒に入ろ‥』


軽く唇がおでこに触れると、
隼人くんは起き上がり肌触りのいい
スウェットを被ると部屋を出ていった


一緒にお風呂って‥‥


さっきまでの行為がリアリティを増し
一気に恥ずかしくなる


自分があんな声を出したり
気持ちがいいと思ってしまったり
知らない自分がどんどん出てきて
驚いてしまう


初めての時と変わらず
ちゃんと私を気にかけてくれる
抱き方が嬉しくて枕に顔を埋めた



ガチャ


寒いからベッドの中で
モゾモゾと着替えていると
隼人くんが暖炉に火を付けて
ベッドに戻ってきた


『寒‥っ‥‥ずっとこのまま寝てたい』


「仕事がない時はゆっくり寝てね?」


愛しい腕の中に引き込まれると
もう一度深いキスが落とされる


「んっ‥‥‥‥」


隼人くんとの深いキスは
いまだに答えるのが下手で
されるがままだ


整った綺麗な容姿の彼に
自分が釣り合っているとは
とても思えないけど、
触れる手も、唇も優しくて
不安なんてなくなるくらい溶かされる



『はぁ‥‥帰りたくない』


年が明ければまた瀬木さんは
新しい本の執筆活動が始まり
忙しくなるみたいだ。


読むのが楽しみだからサポートを
頑張ることしか出来ないけど
体調崩さないように支えたいな‥‥



「隼人くん‥‥ありがとう。」


『ん?‥‥急にどうした?』


「‥‥‥私のこと信じて待っててくれて
 いつも大切にしてくれてるから。」


抱き締める腕が頭を撫でてくれ、
私は胸にまた顔を埋める


出会えてなかったら
今頃どうなっていたんだろう


あの思いを引きずって
きっと前に進むことも出来てない
人生だったのだろうか?


『‥‥‥俺もこんなに
 1人の人のことで頭ん中が
 いっぱいになるとは思わなかった。』
 


「私も同じだよ‥‥‥‥」


恥ずかしかったけど、
沢山優しさと愛を注いでくれる
隼人くんに初めて自分から唇を寄せる


軽く触れた後、
目の前の整った容姿の彼が
嬉しそうに笑ったから
もう一度今度は深いキスを落とした。


思い出の場所で、穏やかな時間が
もう一度過ごせて
また新しい年がやってくる。


これからどんな人生が
待っているか分からないけど、
この人のそばで寄り添って
生きていきたい。


あの2人のように‥‥



恋愛日和  完