足の付け根から膝上を
覆っていたものがなくなるって
考えるだけでとても嬉しかった


ただこれを外して
ちゃんと立てるかとても心配だ…


『あと2週間程度固定なしの状態で
 リハビリや院内での生活に慣れたら
 自宅に戻れるからね』


「はい!ありがとうございます」


久しぶりにそれがはずれた瞬間
思わず声が出てしまうほど
開放感を感じられて
とても気持ち良かった



『あ、あと
 久しぶりにシャワーなら
 入っていいよ』


「えっ?いいんですか?」


『うん、その代わり浴室の
 椅子に座ったままで
 気をつけて入ってね。』


想像以上に痩せ細った右足は
手術の縫い痕がうっすら見えて
卒倒しそうになるけれど、
こんなになるまで私の足は今日まで
頑張ってくれてたんだから
褒めてあげたい‥‥


『傷痕はかなり消えて行くよ。
 今はいい薬もあるから
 女の子だし治療していこうね』


この大きな傷は
みんなの優しさを忘れないで
これからも生きなさいと
言われているようだ



「はぁ……さっぱりして気持ちいい‥」


数ヶ月ぶりのシャワーを浴びて
いつもより念入りに身支度をする


瀬木さん今日は遅いなぁ……


昨日も遅くまで勉強見てもらったし、
寝不足で寝ているのかも知れない


そうだったら沢山寝かせてあげたい……


ゆっくりと窓辺に移動して
ここにきた日々を思い返していると
部屋のドアが突然開いたので振り返る


ガラッ


「彩!!!」


『日和……あんた』


「ごめん!!心配かけてごめん!!
 今度パフェ奢るから!!
 あ、お兄ちゃんとの方がいいなら」


入り口から
涙を流して走ってきた彩を
倒れないように抱き締める


『馬鹿……ほんとに馬鹿』


「うん、知ってる。心配かけてごめん。
 彩がいてくれて本当に良かった……
 だからこれからも友達でいさせて。」


泣かないように堪えて自分よりも大きな
彩の背中を何度も擦った


友達なんて数多くいれば
いいってものでもない。


私は友達作りが苦手だけど
彩と会えたことは本当に幸せだ


『立花……』


「…‥‥…安藤君」