突然出てきた瀬木さんの名前に
驚いて弥生ちゃんを見た


「な、何で?」


『‥‥‥‥‥やっぱり
 一緒に住んでるのは変だし、
 この間帰り際に瀬木先生が
 日和ちゃんとそういう関係だって
 言ってた気がして。』


えっ?
瀬木さんが?


いつの間に弥生ちゃんとそんな
深い話してたんだろ……


私が泣いてた時?


「え、えっと‥‥‥‥‥
 まだ内緒なんだけど、瀬木さんとは
 6年前から実は知り合いなんだ。
 やっと最近そういう
 関係になったというか‥‥。」


自分でこんな話してて恥ずかしくて
顔が熱くなるなんて、
私は重症かも知れない


『そうなんだ。残念‥‥
 日和ちゃんとは友達になれると
 思ったのに………』



「…えっ?……弥生ちゃん?」


図書室から一階に降りる階段を
降り始めた私は
その場で立ち止まり降りて来ない
弥生ちゃんを変に思い
また上まで階段を登っていく


どうしたんだろう……
さっきまであんなに楽しく笑ってたのに
俯いてしまってる


「‥‥弥生ちゃん?」


『‥‥‥私の方が前から
 ずっと好きだったのに‥
 何で!!?
 なんで日和ちゃんなの?』


ビクッ!!


「なに……分からない……
 なんのこと?」


『ねぇ、消えてよ』



えっ?


『だから‥‥さ』



『日和ちゃんなんかいなくなればいい』


ドンッ!!!


「えっ?‥‥ウソ!!
 キャアーー!!」


まるでスローモーションのようで、
宙を舞う瞬間に見えたのは
見たこともないくらい恐ろしく
妖艶に笑う彼女の顔だけだった。


何故‥‥‥‥‥?
なんで弥生ちゃ‥‥ん


ドンっ!!


全身に激しい痛みを感じたまま
長い階段を転がり落ちていく私は、
そのまま暗くなる視界に意識を失った