「行ってきます」


『ん、行ってらっしゃい』


小さい鞄に最低限の荷物をいれて
出掛ける私の頭を綺麗な指が撫で、
啄むような口付けを落とされた後
隼人君のお家を出た。


正直1人で残してくるのが
スゴく心配だけどまた2日経てば
すぐ会えるから‥‥‥


お兄ちゃんから来ていたメールで、
大学で夕方お兄ちゃんとお母さんと
待ち合わせの為、
久しぶりに構内を訪れていた


夏休みだから
午後なんて殆ど人もいない


時間よりも早く来たのは、
弥生ちゃんから連絡が来ていて
図書室でこの間のレポートの
続きをするためだ


歩いてきた私は
構内の図書室の涼しさに、
滲んでた汗を拭い見渡した


『日和ちゃん』


サラサラの黒髪だからか目立つので
すぐに弥生ちゃんの元へ向かった


「ごめんね、
 こんなとこでしか出来なくて。
 瀬木さん、家で編集の方達と
 仕事の打ち合わせがあるから、
 我儘言えなくって」


旅行鞄をどさっと傍に置いた私は
弥生ちゃんと向かい合わせで
テーブルに座った



『‥‥‥そっか‥‥ううん、いいの。
 私は日和ちゃんと
 ゆっくり話したかったから。』


可愛く笑う弥生ちゃんと
残りのレポートを話をしながら
何とか下書きまで作り上げた


「弥生ちゃん出来た?」


『うん、何とか。
 ……はぁレポートって大変だね。
 でも日和ちゃんのお陰で捗ったよ。』


3時間近く真面目に勉強した後
弥生ちゃんと
これからお兄ちゃんのところに行く
途中まで一緒に行こうと
いうことになり色んな話をした



今流行ってる服とか代官山に出来た
美味しいアイスクリームのお店の話とか



こんな風に話せる友達は
彩しかいないから
弥生ちゃんとバイト以外で
ゆっくり話せるのが嬉しかった






『ねえ‥‥日和ちゃんってさ
 瀬木さんと付き合ってるの?』


えっ?