あれから数日後


「明日からの週末
 おうち留守にしてもいい?」


夕食を食べ終え、洗い物をした私は
瀬木さんに許可をもらうべく
おとしたてのコーヒーを差し出した



『いいけど‥何処か行くの?』


「うん………お兄ちゃん家。
 お母さんも来るから行きたくて。」



お母さんがアパートを解約したのを
どうやら知らなかったみたいで、
心配してるらから私の顔を見たいらしい



その日はお母さんは北海道から来て
お兄ちゃんのアパートに泊まるから
一緒に泊まれと言われた。


『久しぶりなんだろ?
 ゆっくり会っておいで』


「うん、ありがとう。
 2日間いませんけど
 家のこと出来なくてごめんなさい。」


隼人君の手が私を引き隣に座らせると
肩をそっと抱き寄せた



「隼人君?」


『よく考えたら一緒にいて
 初めて離れるなって思って‥‥
 …もう会えなくなる訳じゃないのに
 寂しいなって』


確かにそうかも‥‥


数ヶ月前から
ここでお世話になって
帰ってこない日はなかったから。



大きな綺麗な手が私の頭に乗せられ
親指がその場で私をくすぐる


「隼人君、ちゃんと寝てね。」


『ん‥‥』


「コーヒーは5杯以上ダメだよ。」


『ん‥‥気を付ける』


「暑くても服着て寝て……んっ」


軽く触れた唇が私の唇を啄み
恥ずかしいリップ音が響く


『………日和』


「ん?何?」





『‥抱きたい』


ドクン


みんなが来たあの日から
深いキスを落とされるたびに
そうなりかけた時もあった。


隼人くんの唇からの舌の合図にも
いまだに緊張する


でも前よりも
もっと長くくっついていたいって
思えるほどにもなった


整った容姿が目の前で
私の瞳を真っ直ぐ見つめてくる


ずっとずっと私の気持ちを優先して
待っててくれてるって知ってる‥‥



きっとここで断っても
隼人君は待ってくれると思う


キスする時も強引なようで
ちゃんと私に合わせてくれてるから



「‥‥‥‥うん‥‥」


恥ずかしかったけど、
大好きな人とそうなりたい


隼人君は
私を大事にしてくれる

だから答えたい。


そう思うのはこの人だけだから‥‥



勇気を出して小さく頷くと
私はあっという間に抱っこされて
隼人くんの寝室に連れて行かれた