でも、不安もあった。いつか、みんなが俺から離れていくんじゃないか、嫌いになるんじゃないか。

俺について来てくれなくなるんじゃないか、信用して貰えなくなるんじゃないか。

そう思ってなかなか寝れない夜もあった。奏のことを好きになってからも、変に嫌われたくなかった。

でも、俺はやらかしてしまった。俺のせいで、この四人の関係を壊しかけた。

そしてまた、昔のことを思い出して俺は逃げたんだ。もしも俺らしいものがあるとするなら、それは逃げることだ。

昔の学校の人たちからは引っ越しという形で逃げ、今は三人と向き合うことから目を背けている。

もう、俺はどうしたら良いのか分からなかった。俺はまだ未熟者で、みんなに釣り合わない。

最初から関わらなければ良かったんだ。そうすれば今みたいに、ギクシャクすることなんて無かっただろうに。

運良く、保健室には先生がいなかった。だから俺はベットに潜り込み、そのうちに意識を手放した。

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俺が目を覚したのは、懐かしい声に呼ばれた気がしたからだ。そこにいたのは、俺の……好きな人だった。

幻覚かと思って頬をつねってみたけど、ただただ痛いだけだった。

「あ、星一……体調、大丈夫なの?優雨と七生に聞いて、それで会いに来た」

彼女の表情はどこか苦しそうで、悲しそうだった。俺のことを心配してくれたのかな?

……なんて発想は、すぐに自分の意思で消した。今まで奏は避けて来たのに、今更俺の心配なんてするはずがない。

正直、来て欲しくなかった。俺自身、どんな顔をすれば良いのか分からない。彼女に嫌な想いはさせたくない。

「星一が寝ている間に二時間経ったんだ。これから体育をして、そのままお昼ご飯……起きれそう?体育は見学しても良いけど、どうする?まだ保健室にいる?」

「…体育で見学するくらいなら、保健室にいた方が気が楽」

「あぁ、確かに!…うーん、じゃあ、私も体育の授業休む!私、お腹痛くなって来たから保健室にいるね?」

……え?今、何て?体育休む?保健室にいる?本当なら今、他に人はいないから二人きりになってしまう。

二人きりになったって、気まずい空気が流れるだけじゃないか。奏は何を考えているんだか。