それから無事に学校を終え、三ツ星と一緒に校門まで歩いていた。そこにはいつものお高そうな車が停まっていた。

私たちはその車に乗り込んで、そのまま事務所へと向かう。

「いやぁ、もう、お嬢の相手はごめんだねー。奏を織姫にしてからは特に、俺らの関係を探ってくるんだよなぁ」

「え、そうなの?」

「あれ、奏ちゃんのところにはお嬢さん方は来なかったの?」

「いや、来たっちゃ来たけど……」

うーん……何と言えば良いのだろう。

私のところにもお嬢様達は来たけど、芸能界の世界はどんな感じだったのかを聞いただけだった。

近くで見る三ツ星はどんな感じなのか、カッコいいか、とかそんな感じ。

「別の関係を探られたって感じは、多分無かったはずだよ。うん、無かった」

「あー、お嬢みたいな性格の女子は、本当に俺苦手なんだよ。気持ち悪い」

「あのぉ、舟星さんは一応アイドルですので、口調には気をつけてね?」

ナイス舞さん!本当に七生は口が悪いんだから……。注意された七生はチッと舌打ちした後静かになった。




 はぁはぁ、っキッツ!本番のように通しで練習したけど、終わった時の疲労感が半端ない!

「はぁ、三ツ星って、今までも、はぁ…こんな感じでライブやってたの?」

私が息切れをしているのとは正反対で、涼しげな顔をしている彼らは凄い。

「まぁね♪奏ほど息は切れないけど汗はかくけどね」

いやいやいや、私なんか息は切れるし汗だくだし、みっともなさすぎる!

毎日走るようにしてから、体力は結構ついてきたと思ってたんだけどなぁ。まだ足りないのか……くぅ、悔しい!

「でも、奏ちゃんは最近、本当に頑張ってるよ!私なんか、そんなに元気に続けていられないよ」

はぁぁ、舞さん、私、本当に頑張ってますよね?この三人が異常なんだってば。

しかも、私は女子で三ツ星は男子。それだけでただでさえ体力に差がある。比べてはいけないヒトタチナノダ。

「いやぁ、それにしても後五日でライブかぁ。速くね?」

「うん。僕も神矢くんと同じ事思ってた。最近時間が経つの速くて、少し焦ってる」

「フン。慣れたもんだろ?忙しいのは当たり前だ」

「それはそうだけど、奏がいるからかな?ただ忙しいだけじゃなくて、楽しいからこそ時間が速く感じる」

……え、私?私がいると楽しいみたいな言い方、誤解しそうになるからやめてほしいな……

何なら、私の方が三ツ星や舞さんのおかげで楽しむことができている。