はぁ、さっきからため息が絶えない。それに気づいたのか、優雨が心配そうな顔をした。
さらに、七生には「なぁに、お前、もしかしてスランプにでもなったのか?」とややからかい気味に聞かれた。
「はぁ、ちげぇよ。ただ、俺らの奏が、最近眩しすぎて目が痛い……」
本当に、彼女は頑張り屋さんなんだ。体調を崩していないか心配にすらなる。
てか、心配しかしてない気もする。最近学校にも行けていないっぽいし、無理させてないかな?
「ねぇ、神矢くんって、恋したことあるの?」
「ブッ、ゴホ、ゲホゲホっ……はぁ?」
ちょうど喉が渇いて水を飲んでいたところに、優雨からの爆弾発言が飛んできた。
そのせいで、俺はむせてしまった。
「あれ、焦るってことは、恋したことがあるってこと?僕、そう言うの気になるんだぁ」
……優雨ってこんな感じのキャラだったっけ?恋バナが好きなのか?
てか、そんなの知ってどうするんだってんだ。
「ちなみに僕は好きな子できたことないよ?そこら辺の女の子、肩書と顔しか見てないもん」
「あ、俺もそれは分かる!でも、奏だけは初めから違ったよね。一人の人間として見てくれてたって言うか……」
そんな彼女のそばは、どこか安心するんだ。本当に奏が織姫でよかったと思う。
「フフーン?そう言うことか。星川、お前、なかなかやるな!はっはっは」
「ふふ。ねぇ、それってさ、神矢くんって奏ちゃんに恋をしてるってことだよね?」
……は?……え、え、はぁ?
「…はぁ?!」
「ちょっと、うるさいよ?」
お、俺が奏に恋をしている、だって?……恋、かぁ。今までそんな経験なかったからよく分かんないけどさ。
でも、これが恋をしているって言うんだろうか。
「星一!はぁはぁ、あのさ、私の曲、聞いてくれないかな?!ダンスも練習したから、アドバイスも含めて!」
……いやいやタイミング!よく言う噂をすればってやつか。
んで、ちょこちょこと走ってやってきた奏に、俺は付き合った。