茜と別れたあと橋本に返事をした。
『大丈夫だよ』
連続はキツいが私は会いたくて大丈夫と返事してしまう。もともと、断れない性格なのも関与しているのだろうか。
大学の授業を適当に受け、待ち合わせ場所へと向かう。

「お待たせ」
「待ってないよ。行こうか」
私たちはまた、ホテルへ向かう。またそういうことをする。お金をもらうとかそういうことではない。ただそういう関係なだけだ。
今日はいつもより橋本の表情が焦っているようなどこか寂しそうなそんなような感じがした。
理由は聞かない。私たちはそういう関係なだけであって、心を許した訳では無いのだ。
私たち本当に中途半端だねとか考えながら今日も何も言わず行為だけをする。
少しはわかる。橋本はこれでも軽度の潔癖症で、ホテルに着くと必ず手を洗うのだ。私に触れる手も少し震えている。きっとこういうことをするのもなにか理由があるのだろう。
「今日もありがとう」
「……こちらこそ」
そして私はスマホの文章を見てぐるぐるしていたものが吹っ飛んだ。
『緊急で話があるの。気づいたらいつもの居酒屋来れる?』
私はいつものように消えていく橋本を見送ったあと急いで居酒屋へと向かった。

早急に居酒屋へ向かうとポツンとひとり座る茜がいた。
「茜、どうしたの?」
「どうして、黙っていたの?」
「え?」
そうして、茜はひとつの写真を見せた。それは私と橋本がホテルへと入るところが写された写真だった。
「それは……」
「私ね、怒ってるよ。でも友達でいたいから、告白することにしたの」
「うん……」
「応援してね」
そう言って茜は涙を流した。私も涙が溢れてきた。
「うん……優しいね。ありがとう。頑張ってね」
私たちはそのまま静かに、茜の気持ちが落ち着くまで一緒に飲み明かした。