ほんの偶然で宮瀬蓮のメイドになったけど…





メイドって…こんな暇なの!?




宮瀬蓮と私は歳も違うから棟も違う。





だから会いに行こうと思ってもなかなか行けない。




それに…






私も宮瀬蓮も超有名人だから。





少し移動するだけで大騒ぎ。





だから学校ではトイレに行きにくいし、女友達の側も離れたくない。






少しでも声を掛けられる確率を減らしたいから。





はあ…あ。





「どうかしたのか?優愛。」





ん?




「恭輔くんっ?びっくりしたよ。どうしたの?」





「いや…それ俺のセリフだから。」





俺のセリフ…?




ああ、私が深刻な顔してたからかな。






「大丈夫っ!心配してくれありがとうっ。」





「あ…うん。いいよ。それよりどうしてそんな顔してたの?誰かに…なにかされた?」





は? 





いや…なんで分かったのか知らないけど、絶対に教えないんだから。





「うんん、そんなことないよ!」





「あ、そっか。」




信用してなさそうな感じだけど仕方ないし…、





口が滑っても宮瀬蓮のメイドになりましたなんて言えない。




なんとか話題を変えなくちゃ。





なにか…話題…





あっ!






そういえば今日のSHRで熊谷が(担任)がもうすぐ体育祭って言ってた気がする。






「そ、それよりさ!もうすぐ体育祭だよねっ!」





ふ、不自然じゃないよね?





「あ、ああ。そういえばそうだな。優愛はなんの種目に出るんだ?」





種目か…、





確か、種目は





借り物競走、リレー、綱引き、玉入れ、大玉…





だった気がする。





でも、まあどうせリレーは確実なんだろうから後もう一種目はどうしようかな。




これは2種目でないといけないらしい。





リレーが確定っていうのは私自分で言うのもなんだけど、運動神経抜群だから。




50mは6秒前半だし、運動種目では何一つ負けたことない。





だから小、中とリレーのアンカーをしてた。





で、問題はもう一つの種目の方。






小、中は一種目だけでよかったから困ってるんだよねぇ。






「恭輔くんはどうするの?」






今考えてもどうしようもないからとりあえず話を振ってみた。






「俺?俺は運動は得意だからリレー…とかか?」





ああ、そうだこいつ頭は悪いけど運動神経はいいんだった。





忘れてた。





「そっか…私もそうしようかなぁ。私も走るのは得意だしねぇ。」




「…、いいんじゃね。好きなようにすれば。」




「ふふ、ありがとう。」




あんたと一緒なんて死ぬほど嫌よ。






でもまあ…走ることは嫌いじゃないし…






仕方なく?って感じ…





ピロロン









ライン?




えーと、誰…?





宮瀬蓮…!?





『今すぐ屋上に来て。』





もう、なんなの?





私はメイドであってパシリではありません!










「で?何よ?」




「おせーよ。何分かかってんの?」





は?





「5分で着きましたけど。」





「それがおそいんだよ。」



なにこいつ!




うざすぎでしょ!





「ああもう!で!?なんのよう?」




「花咲は今度の体育祭なんの種目でんの?」



はあ?





種目?




「リレーだけど?」





「へぇ…足速いんだね。」




そりゃどうも。




「で?宮瀬蓮は?」




「俺?俺もリレー。」




なんだ私と一緒かよ。
 



「あんたも足…早いのね。」





「ああ、まあ…な。」





ガンガンガン




え?




この音まさか…。




「宮瀬くんっ!」 




誰かが階段を上ってきている。




どうしよう、





屋上に隠れられるスペースなんてないし…。





私が焦っていると、



「花咲!こっち。」




という声が聞こえた。



えっ…!?




うわっ!




いつの間にか、私は宮瀬蓮に担がれて屋上にいた。




「へっ?」




私は男の子に担がれたのは初めてで、しかも宮瀬蓮の髪の毛が当たっていてとてもくすぐったかったので…思わず…





「ひやぁん、、あっ…」




という甘い声を(無意識に)出してしまっていた。




「は?」





やばい…聞かれた?




「テメェ俺を誘ってんのか?」




さ、誘う?




何に…、




「……、もしかしてお前の噂って全部…う」



ガチャン



宮瀬蓮が何か言おうとするとちょうどドアが開いた。



「宮瀬くんぅ?いるのぉ?どこお?」




なんなのこいつ…ちょうブリッ子じゃん




キモ…




「ちっ……、僕はここだよ、岸田さん。」




すごっ、



切り替えはやっ。




いっきに王子様モードになった。





「あぁ~!宮瀬くんいたぁ。」





「…それで、どうしたのかな?」




確かに…





屋上まで来ていったいどんな用、





「えっ?別にどぉもしてないよぉ?」




は?




「え?」





「だってぇ、私ぃ宮瀬くんのぉ彼女だしぃ。彼氏のぉ事はぁ把握ぅ?しといたいでしょぉ?」





えっ…?






あいつ彼女いたの?





知らないんだけど、、





なんで…言ってくれなかったの?







というか…ナンなの?




この…変な気持ち






私は………思わず声に出ていたことに気づかなかった…






「宮瀬蓮…あんた…彼女…いたの?」







はっ!






しまった…声が…







「は?あんた誰よ?」





「わ、私…はねっ、い、一年生っの花咲ゆ、優愛ですっ。」





演技…下手じゃないよね?






「花咲…優愛…」




えっ…私の名前知って…






当たり前か…





だって私は




"花咲優愛"だもんね。






「あんた…知ってる…南の天使、」





うん、でしょうね。





「あんたのせいで…あんたがたぶらかすから…あんたのせいで…」





待って…、、、




私の経験上だけどこの感じ、ヤバいかも…





恨みのこもった何かが起こる…そんな声






「わっ、私の…せいっ?」






ここはできるだけわからないふりで…







「そうよ!あんたさえ…あんたさえいなけりゃ…こんなことには…。」







はあっ?





私が何をしたっていうの?







「私がっ何をしたのっ?」






「あんたが…あんたが私の彼氏をたぶらかしてる女ね…、だから宮瀬くんが私のことを否定するんだわぁ、そうよぉ、そうだわぁ。そうなのねぇ、あんたが死ねば…元に戻る、」





はっ?





えっ?





嘘でしょ、?





待って、待って、





なんでこいつ段々こっち来てるの…?





ドサッ





フェンスに…背中があたった。






やばい、この感じ






「死ねー!!」






嘘でしょ!?






うわっ、





「優愛っ!!」






ギュッ





へっ?





「つっ、あっぶね。大丈夫か?」






「みやせ、れんっ。」






怖い…怖かった、






あの殺意のこもった目…






いつ見ても慣れない、、






昔のトラウマが…






つっ、






「大丈夫?頭痛むのか…?」






「つっ、なんで…なんでじゃまするの!!?もう少しで私達は邪魔者から解放されるのにっ…」






「テメェ、今何しようとした?」






「はっ?」






「優愛に何しようとしたって聞いたんだよ!あ?」






宮瀬蓮が本気で怒っている。






「だ、だから…私は…」






「もういいから、何も喋らないでくんない?」






「えっ…」






「バイバイ、岸田さん。もう君に話すことはないから。理事長。早く回収して。」






ガチャ






理事長?





「かしこまりました。宮瀬様。」






「まっ、あんたも私達の仲を引き裂こうっていうのっ?離せっ、はな…」




ガチャ





一体何だったの…本当、