「聖女の仕事が、あんなにも過酷なものだとは知らなかった」

「そうなのですか?」

「軽率にフランソワーズに頼んだことを後悔したよ」

「いえ、大したことではありません。いつも半日は当たり前のように祈っておりますし」

「飲まず食わずで長時間、動かずに祈り続けるなんて簡単にできることではないぞ?」


フランソワーズは当たり前のように繰り返していたためか、特に何も感じなかった。
そのことを伝えるとステファンは驚いている。


「フランソワーズはシュバリタイア王国ではいつもこんなことを?」

「はい。祈りが終われば妃教育や公務やお茶会にも参加しておりました。これが普通のことかと思っておりました」

「…………まさか、ありえない」


ステファンはフランソワーズの話を聞いて絶句している。
確かによくよく考えてみるとフランソワーズは激務だった。
寝る間も惜しんで祈りを捧げ続けたからだ。
当たり前だったことも、指摘されてみると確かにありえない。

(幼い頃から疲れたと言うことすら許されなかったものね。嫌だと言えばお父様やお母様に頬を叩かれたわ)