「フランソワーズ、僕に時間をくれないか?」

「時間、ですか?」

「ああ、フランソワーズに僕のことやこの国のことを知ってもらいたい。それから答えを聞かせてくれないか?」

「…………」


ステファンの言葉にフランソワーズは静かに頷いた。
それにこんなに幸せが続くのなら、願ってもない申し出ではないだろうか。
このままステファンのそばにいたいと思う自分がいるからだ。
にこやかに笑っているステファンを前に、急に恥ずかしくなったフランソワーズは咳払いをして静かに頷いた。


「ゴホン……よろしくお願いします」

「よかった。オリーヴも君が城に滞在すると知ったら喜ぶよ」


ステファンはいつものようににっこりと笑った後に立ち上がる。


「フランソワーズ、夕食を一緒にどうかな?」

「……!」

「君と話したいことがたくさんあるんだ」


楽しそうなステファンは、以前よりもずっと感情豊かになったように感じた。

(悪魔の呪いに耐えていたんだもの……普通ならば呪いに耐えられずに気が触れてもおかしくないと聞いていたのだけれど)