王妃もひょっこりと背後から顔を出すと「あらあら」と口元を押さえながら嬉しそうにしている。
フランソワーズは今、自分がステファンに抱きしめられていることに気がついて慌てて体を離した。
ステファンは不満げな表情でフェーブル国王を見ているが、フランソワーズは恥ずかしくてたまらなかった。


「お父様、お母様っ! どいてくださいませ」


そんな時、フェーブル国王と王妃の背後から聞こえたのは可愛らしい声だった。


「おお、すまない」

「はしたないわよ。オリーヴ」

「わたくしだってフランソワーズに御礼を言いたいのよ! お兄様ばかりずるいわっ」


先日、ベッドの上で咳き込んでいたオリーヴはどうやら悪魔を祓ったことですぐに体調が回復して元気になったようだ。
細身ではあるが顔色もよくピョンピョンと跳ねている姿を見ていると、別人のように思えてくる。
オリーヴはステファンを押し除けると、フランソワーズの手を両手で掴んで嬉しそうでブンブンと振っていた。
初めて会った時は、病弱な美少女といった感じだったのだが本来は元気いっぱいのようだ。