フランソワーズは目を見開いた。
カタカタと金属が擦れる音に気がついて息を止める。
目の前にはステファンが握る剣先があったからだ。
ガクガクと震える剣は、徐々にフランソワーズの首元に近づいている。
「──ステファン、やめろっ!」
「くっ……!」
フェーブル国王の声が響いた。辺りは緊張感に包まれている。
よく見ると黒いアザがステファンの指先まで埋めていることに気がついた。
ステファンは必死に抵抗しているのか、唇に血が滲むほどに噛み締めているようだ。
「に……げ、ろっ……!」
ステファンから絞り出すような声が聞こえた。
(ステファン殿下を通じて、わたくしを止めようとしているのね)
状況を把握したフランソワーズは、自らを落ち着かせるように大きく息を吸い込んでから古い本を見た。
それほどまでにフランソワーズを近づかせたくはないのだろう。
こうしてステファンを操って、フランソワーズを排除しようと動いている。
護衛の騎士たちも国王の指示でステファンを抑えるために動きだすが、凄まじい力で抵抗しているのかステファンはまったく動かない。
オリーヴにも何かあったのだろうか。侍女の悲鳴が遠くから響いている。
(こんなことをするなんて許せないわ……!)
フランソワーズはグッと拳を握った。
「フェーブル国王、わたくしがいいというまでこの部屋に絶対に入らないでくださいませ」
「わ、わかった!」
「それからステファン殿下を落ち着くまで教会へ閉じ込めてください」
「──皆、フランソワーズの言う通りに動けっ!」
カタカタと金属が擦れる音に気がついて息を止める。
目の前にはステファンが握る剣先があったからだ。
ガクガクと震える剣は、徐々にフランソワーズの首元に近づいている。
「──ステファン、やめろっ!」
「くっ……!」
フェーブル国王の声が響いた。辺りは緊張感に包まれている。
よく見ると黒いアザがステファンの指先まで埋めていることに気がついた。
ステファンは必死に抵抗しているのか、唇に血が滲むほどに噛み締めているようだ。
「に……げ、ろっ……!」
ステファンから絞り出すような声が聞こえた。
(ステファン殿下を通じて、わたくしを止めようとしているのね)
状況を把握したフランソワーズは、自らを落ち着かせるように大きく息を吸い込んでから古い本を見た。
それほどまでにフランソワーズを近づかせたくはないのだろう。
こうしてステファンを操って、フランソワーズを排除しようと動いている。
護衛の騎士たちも国王の指示でステファンを抑えるために動きだすが、凄まじい力で抵抗しているのかステファンはまったく動かない。
オリーヴにも何かあったのだろうか。侍女の悲鳴が遠くから響いている。
(こんなことをするなんて許せないわ……!)
フランソワーズはグッと拳を握った。
「フェーブル国王、わたくしがいいというまでこの部屋に絶対に入らないでくださいませ」
「わ、わかった!」
「それからステファン殿下を落ち着くまで教会へ閉じ込めてください」
「──皆、フランソワーズの言う通りに動けっ!」