オリーヴの人柄が表れているような気がした。
フランソワーズと同じ十八歳だと聞いていたオリーヴの体は随分と小さく見えた。
オリーヴは十歳の時から八年間もこの病……悪魔の呪いに侵されているらしい。


「ステファンお兄様……! おかえりなさっ、ゴホッ、ゴホ」

「オリーヴ、無理をして話さなくていい」


体を折り曲げて咳き込むオリーヴは苦しそうだ。
ここ数日はいつもよりも体調がよくなり、体を起こせるので元気なの方なのだという。
フランソワーズは悪魔の取り憑いている本を光に当てているおかげではないかと思った。
しかしオリーヴの体は痩せ細り、精神的にも辛い状態が続いているそうだ。
手遅れになる前にここに来れたのは幸運だったかもしれない。

(これが悪魔の呪い……初めて見たわ)

フランソワーズはずっと悪魔の宝玉にしか、聖女の力を使ってこなかった。
宝玉のある部屋で一日中、祈り続けているフランソワーズとは違い、小さな悪魔でも祓っていたマドレーヌの方が活躍しているように見えただろう。
小説の中でもマドレーヌはそうやって力をつけていたことを思い出す。
悪魔が取り憑いている物を灰にして祓うらしいが、フランソワーズには初めてのことだった。