フランソワーズはステファンが何を考えているのか、彼がどんな人物なのか気になってしまった。
それにこんな風に妹への気持ちを聞かされてしまえば、断ることなどできない。


「わかりましたわ」

「……いいのか!?」

「ステファン殿下のおっしゃる通り、わたくしはこの国から出て自由になりたいと思っておりましたから」


フランソワーズがそう言うと、ステファンの表情がパッと明るくなったのがわかった。
それからもしオリーヴのために力を貸してくれるのなら、フェーブル王国で安全に暮らせるように手配してくれることを約束してくれた。
それは今のフランソワーズにとって、願ってもない提案だった。

(まさかこんな風に安心に過ごせる場所が手に入るなんて……!)

フランソワーズは大きく頷いた。


「それならよかった」

「わたくしの力が役に立つのならば喜んで」


ステファンはホッと息を吐き出した後に安心したように微笑んだ。
いつも笑顔で表情が動かない、ステファンの本当の姿を垣間見た気がした。


「ありがとう……! 本当にありがとう、フランソワーズ嬢」


無邪気に喜ぶステファンの姿を見て、つられるようにして笑みをこぼす。
そんなフランソワーズの表情を見てか、ステファンは今度は驚いているようだ。
フランソワーズは首を傾げてステファンに問いかける。