(シュバリタリア国王がフェーブル王国に力を貸さなかった理由は何……?)

考えても答えは見つからない。
シュバリタリア王国はフェーブル王国に隣接しているが、国土は五倍ほど。
いつフェーブル王国が攻め入ってくるのか怯えて対策を講じていたが、そんな話も聞かなくなった。

(まさか……内情を知った上で失脚を狙っているのかしら)

シュバリタリア国王たちの考えはわからないが、色々な思惑が重なっているような気がした。


「今日までなす術なく、僕たちはただ耐えるしかなかったんだ」


そう言った瞬間に、ガタガタと大きく揺れる馬車。
窓から見える景色はいつの間にか真っ暗になっていた。
フランソワーズは馬車の揺れに耐えるために壁に捕まるようにして身を寄せる。


「フランソワーズ嬢、大丈夫か?」


上半身が露わになったまま伸ばされるステファンの逞しい腕。
しかしシャツの隙間からは鍛え上げられた肉体が露わになっている。
目のやり場に困ったフランソワーズはバッと視線を逸らす。
自分の今の格好に気がついたステファンは申し訳なさそうに咳払いをして、シャツのボタンを閉めていく。


「……すまない」

「い、いえ……」