「……これ以上の詮索は野暮かな」

「そうですわ。では、わたくしは忙しいので……っ」


フランソワーズがそう言いかけた瞬間、フランソワーズの体がフワリと浮いた。


「……え?」

「なら、僕に手伝わせてくれ」


ステファンが抱き抱えられているとわかったのは彼の顔が間近に迫っていたからだ。
透き通るような青い瞳に見つめられて、フランソワーズの心臓がドクリと跳ねた。


「随分と軽いのだな」

「~~~ッ!?」


驚きから声が出ないフランソワーズとは、ステファンは軽々と持ち上げてしまう。
 

「先ほどのドレス姿も素敵だったけれど、簡素な服装も似合うんだね」

「ス、ステファン殿下、降ろしてくださいませっ!」


フランソワーズは手足を動かしてバタバタと暴れていると、ステファンの後ろから現れたフェーブル王国の騎士が二人現れる。
彼の指示を受けて一人はフランソワーズの荷物を持ち上げた。
それから一人は、足早でどこかに向かってしまった。