「わたくしは今すぐにこの国を出て行かなければならないのです。先ほどステファン殿下も会場にいたのなら、今のわたくしの状況がわかりますでしょう?」
「ああ、ひどい有様だったね。あのまま二人を問い詰めていたら君の優位に進んでいたはずだけど」
「……そうですわね」
「でも君は自分の身の潔白を最後まで証明することなく身を引いてしまった。それにこの準備周到な様子を見るに……フランソワーズ嬢は、自分の立場を捨てるつもりだったのかい?」
「……っ!」
フランソワーズの表情がわずかに動いたのを見たステファン。
こちらがしようとしていることをピタリとすべて当ててみせたからだ。
「君はこの国を出ていくんだね?」
決定的な言葉を吐くステファンに、フランソワーズの眉がピクリと動く。
「セドリック殿下からは婚約の破棄をされて、国外に追放されましたから。それにお父様にも手を差し伸べられることはない。義妹に立場を奪われた令嬢がどうなるかなんてわかりきったことでは?」
「……」
「わざわざ口に出さなければ、ステファン殿下は理解できませんか?」
苛立ったフランソワーズがセドリックにしたように煽ってみたとしても、ステファンはにこやかに笑ったまま表情一つ動かさない。
さすがというべきだろうか。
彼はフランソワーズが何を言いたいのかわかった上で、そう問いかけているのだろう。
「ああ、ひどい有様だったね。あのまま二人を問い詰めていたら君の優位に進んでいたはずだけど」
「……そうですわね」
「でも君は自分の身の潔白を最後まで証明することなく身を引いてしまった。それにこの準備周到な様子を見るに……フランソワーズ嬢は、自分の立場を捨てるつもりだったのかい?」
「……っ!」
フランソワーズの表情がわずかに動いたのを見たステファン。
こちらがしようとしていることをピタリとすべて当ててみせたからだ。
「君はこの国を出ていくんだね?」
決定的な言葉を吐くステファンに、フランソワーズの眉がピクリと動く。
「セドリック殿下からは婚約の破棄をされて、国外に追放されましたから。それにお父様にも手を差し伸べられることはない。義妹に立場を奪われた令嬢がどうなるかなんてわかりきったことでは?」
「……」
「わざわざ口に出さなければ、ステファン殿下は理解できませんか?」
苛立ったフランソワーズがセドリックにしたように煽ってみたとしても、ステファンはにこやかに笑ったまま表情一つ動かさない。
さすがというべきだろうか。
彼はフランソワーズが何を言いたいのかわかった上で、そう問いかけているのだろう。