「わたくしがステファン殿下しか見ていないということを、いい加減わかってくださいませ!」
「……!」
フランソワーズが気持ちを伝えても、ステファンは心配ばかりしている。
それにステファンだって会場にいる女性たちの視線を集めていた。
フランソワーズだって、ステファンが女性を見つめていたら嫉妬してしまう。
そのことをわかってもらおうと口を開く。
「ステファン殿下こそ……よそ見はしないでくださいね?」
セドリックがマドレーヌを選んだことは頭ではわかっていたとしても、トラウマのようにフランソワーズの中に残っている。
ステファンが他の令嬢と浮気をするなどと思ってはいないが、この先に何があるかはわからない。
フランソワーズは唇をキュッと結んでステファンを見る。
こちらを見つめたまま動かないは彼は次第に頬が真っ赤になっていく。
そのままステファンの体がから力が抜けていき、額を押さえながらステファンは溜息を吐いた。
「はぁ……フランソワーズはずるいよ」
「なにがですか?」
「可愛すぎるんだ。僕はどんどんフランソワーズのことを好きになる」
「……!」
「フランソワーズが他に目移りしないように僕も頑張らないとね」
「ですからわたくしは……っ!」