フランソワーズは皆に見せつけるように、にっこりと笑みを浮かべた。
それにはセドリックもマドレーヌも空いた口が塞がらないといった様子だ。
今日まで、フランソワーズはこんな風に表情を露わになることはなかったからだ。

(やっと自由になれるわ……!)

わざわざくだらない茶番劇に出席したのは、堂々と国を出ていくためだ。
だが、一方的な濡れ衣を着せられるだけでは腹立たしいので、少しは嘘をついた報いをうけてもらわなければ気が済まない。

(自分のついた嘘に苦しみなさい……こんな国のために祈り続けるなんてまっびらごめんだわ。わたくしはこの国を出て、自由になるのよ!)

フランソワーズはスプーンをテーブルに置いて問いかける。


「侍女や令嬢たちが証言したこと以外に、わたくしがマドレーヌを虐げたという証拠はあるのでしょうか?」

「──ッ!」

「そ、れは……」

「あるのは証言のみで証拠はない……それでわたくしをどう問い詰めようというのですか? 本当に彼女たちの証言だけでわたくしを国外追放にするおつもりで?」


フランソワーズの言葉に会場は静まり返る。


「では、その侍女と令嬢たちに、わたくしがいつ、どこで具体的に何をしたのか……証言をとってくださいませ」

「……!」

「もちろんマドレーヌと顔を合わせることなく、ですわよ? 口裏合わせは勘弁ですもの」

「ちょっ……そんなのっ」