そこからは色々と大変だった。

結局、私は今住んでいるアパートから引っ越すことを希望した。

表向きはクラスメイトがたくさん事故に遭った学校に通うのが辛いこととアイドルのレッスンをするのに近い所が良いと説明した。

でも、恵理がデスゲームで私に告げたあの憎悪、もし夢だとしても私は恵理と一緒にいるのが恐かったのだ。

そう、デスゲーム学園でのことは本当に夢だったのか。

夢じゃなかったのなら、事故に遭ったほかのクラスメイトもデスゲーム学園で生きているのかもしれない。

私がデスゲームで稼いだ投げ銭はどうなったのだろうと思ったりもした。

それに関しては奇妙なことがあった。

私が退院した日にアパートに保険の担当者がやってきた。

どうもお父さんが500万の生命保険に入っていて、毎年の確認通知があて先不明で帰ってきていたので調べてくれたという。

お父さんが事故で死んだあと私とお母さんは今の家賃が安いアパートに引っ越していた。

保険金の請求期限が2年なのでぎりぎりだった。

でも、私がデスゲームで稼いだ投げ銭も大体500万ぐらいだと考えると不思議な一致だと思った。

この保険金のおかげで当面の生活費と引っ越し費用の心配がなくなったのだ。

それともうひとつ、シュウくんこと星崎秀斗くんのことだ。

私がもし脱出デスゲームで勝利したから戻ってこれたのならシュウくんも学園を脱出しているはず。

シュウくんを追っていたデスゲーム組織のデスエンジェルは壊滅したから隠れる必要はないのに。

私は合間の時間にシュウくんのことをネットなどで探してみた。

けど、星崎秀斗(ほしざきしゅうと)という男の子もシューティングスターというハッカーの情報も得られることはなかった。

もちろんデスゲーム組織が追跡して分からなかった存在だから、私なんかが調べてわかるはずもないのだけど……。

私の周りに何も残っていないデスゲーム学園の痕跡……本当にあのデスゲーム学園の日々は夢だったんだ。

そう、考えるしかなくなっていた。