はっと次に覚醒したとき視界に広がったのはどこかの天井だった。

「蒼(あおい)！　蒼(あおい)が目を覚ました！」

私の目の前にあるのは泣いているお母さんの顔。

「えっ、お母さん、ここ、どこ？」

私はベッドに寝かされていた。

自分の頭を動かして周りを確認すると、私の周りにいたのはお母さんだけじゃない。

お母さんの後ろには同じく泣きそうな顔の恵理がいた。

「蒼(あおい)が助かって本当に良かった」

お母さんが離れると恵理が私に抱き着いてきた。

私の体に重なった恵理の後ろにはまだもうひとりの女の子が控えていた。

「よかったわ、無事に目覚めて。何日も海を漂流してて危ない状態だったみたいよ」

その赤い花のような美貌は見間違えるはずがない。

「えっ、赤音……さん？」

私は思わず恵理の体を振りほどいてベッドの脇に転がり込んだ。

そのままベッドに隠れた態勢でおそるおそる覗いてみる。

「あら、ごめんなさい。驚かせちゃったかしら？」

「デ、デスゲームはどうなったんですか。私たちが勝ったんですよね」

「デスゲーム？」

私から飛び出たデスゲームという言葉にルルリちゃんと恵理が顔を見合わせてきょとんとする。

「何言ってるの、蒼？　海で漂流中に変な夢でも見たの？」

「無理もないわ。あんな恐ろしい事故に遭ったあと何日も海の上でひとりだったんだから」

「えっ、夢？」

そういえば私は脱出を賭けたデスゲームで体中から血を出して死んだはず。

でも、私は生きている。

どういうこと。あのデスゲーム学園でのことは全部夢だったの？