「私知ってるの。その薬の効果は3時間よ」

くすりと笑ったルルリちゃんは慎重に言葉を選ぶように続ける。

「だから少量の薬を注入しただけなら30分ほどで効果は切れるでしょうね」

ルルリちゃんの唇が半月状に歪んだ。

「これから私は制限時間いっぱい使ってゆっくりプレイさせてもらうわ。あなたのタイムリミットを待ちながら」

「蒼、どうして余計なこと言ったんだ。黙ってた方がルルリが動揺したのに」

「あらあら、仲間割れ、ちょうど5分が近いから今回はもうめくってあげる」

ルルリちゃんが促すとクロネコはとことことテーブルの上を歩いてシュウくんの近くのトランプを選んだ。

シュウくんが急いでめくると……。

「最悪だ」

シュウくんが憎々しげにつぶやく。

「あーっと、遂に出てしまった。赤のカードの最大数字ダイヤの13だ。これをマッチすると脱出コンビへのとどめとなってしまうぞ!」

「ふふふ、これでダメ押しね。あなたのタイムリミットを待つまでもなかったかしら」

ルルリちゃんは満面の笑顔だ。

残忍だけど綺麗な笑顔はすり替えの出来るカードにハートの13があることを示していた。

クロネコがルルリちゃんの元に帰ってきて目の前にあるカードを前足でトントンと選んだ。

「さあ、これで終わり」

後はルルリちゃんがそのカードをハートの13と入れ替える……はずだった。