「私が死なないのが不思議だよね」

私はテーブルの上のグリーンティーを一口飲んでルルリちゃんに近づく。

「私は今、仮死状態だから」

「なんですって?」

私はポケットから黒い筒を取り出してルルリちゃんに見せる。

「これは私のクラスで暴れる生徒を拘束するときに使った薬よ」

真桑とのデスゲームで抵抗する真桑を取り押さえるために黒服たちはこの薬を使っていた。

「その時に黒服が使って落とした筒を私が拾っていたの」

ルルリちゃんは私の言っていることの意味に気が付いたのか慌てた表情に変わっていく。

「一回薬は使われたけど、調べて見たら薬は少し残っていたの。それを使って私の体は今仮死状態に近い状態になっているのよ」

私はルルリちゃんの目の前まで近づいて、椅子に座る彼女をにらみつけて見降ろす。

「最初に毒を注入された時に大げさに苦しんでいたのは自分にその薬を使っていたからね」

「そうだよ。トップアイドル様が上から目線で演技だと決めつけてくれて助かったわ」

私の挑発にルルリちゃんはなにが可笑しいのか手を口元に当ててくすくす笑った。

「何か企んでるとは思ったけど、その程度のことだったのね」

「そ、その程度?」

ルルリちゃんの不気味な雰囲気に押されて私は後ずさってテーブルにもたれかかる。