赤音(あかね)、おまえの標的は俺だろ。俺のことは好きにしていいから(あおい)のことは助けてくれ」

「えっ、ルルリちゃんのターゲットはシュウくん? どういうこと?」

呆気にとられている私に向かって、ルルリちゃんは光る瞳を向けた。

「3日前、神戸のレストランチェーンの社長が自宅で変死しているのが発見されたというニュースがあったでしょう」

そう言えば、休憩室でそんなニュースを見た気がする。

「実はね、その社長はデスゲーム運営組織の中心人物だったの」

「……デスゲーム運営組織?」

「倒産の原因のひとつはその神出鬼没さからシューティングスターと名付けられた天才ハッカーが組織の資金を奪ったことなの」

ハッカーというのは確かコンピューターのネットワークを利用してシステムに侵入したり攻撃する人のことだったと思う。

「な、なに言ってるの?」

「まあ、最後まで聞いて。話はこれからだから」

軽く受け流すと、ルルリちゃんはどこか獲物を前にした悪魔のような冷笑を見せる。

「それでね、その天才ハッカー、シューティングスターの正体がまだ15歳の中学生だとわかったのは、つい最近のことよ」

そこまで聞いて、私はシュウくんの方を振り返る。

「そう、あなたのことよ。天才ハッカー星崎秀斗(ほしざきしゅうと)くん」

「星崎……秀斗?」

ルルリちゃんの言葉に応えたようにシュウくんは顔をあげて口を開く。

「デスエンジェルの奴らは妹の(あおい)をデスゲームで殺した。だからあいつらの情報と金をシステムから奪って壊滅させた」

「ふふふ、まさか別のデスゲーム組織の収容施設に紛れ込むなんて考えたものね。でもあなたが買収した人間は拘束されたわ」

デスエンジェル、シュウくんが言っていた子供たちがデスゲームから逃げ出した事件の組織だ。

それと……妹の『(あおい)』?