シュウくんは次にルルリちゃんがカードをめくるときに手を掴んでカードを握りこんでいるのを暴いてやろうとした。

けれど、4回目のカード選択の時には彼女は私たちの視線の変化から気が付いたのかネコがカードを選んだ途端すばやくカードをめくってしまった。

これでは手を掴む隙は生まれない。

おまけにそのカードは……。

「ここでプレイヤー赤音、赤の12をマッチ。これでポイズン役有月の毒の数値は致死量目安の半分25に急増だ!」

それにしてもなんて綺麗な姿だろう……

ルルリちゃんのプレイは派手なアイドル服を着て披露するパフォーマンスに見える。

視聴者の歓声がマイクを通じてホールに響く。

ダメだと思っても気を抜くとルルリちゃんのプレイに熱狂してしまいそうだ。

とにかく今の状態であれば勝負にならない。

「ちょっとカードをシャッフルするぜ」

軽い感じでシュウくんがカードを混ぜようとしたが、ルルリちゃんは強い口調でそれを制止する。

「同意しないわ。言ったでしょう、これ以降のルールの追加は3人の合意が必要だって」

なるほど、これを狙っていたわけだと気が付いた時にはもう遅い。

8枚も先行して取られてしまった上にルルリちゃんはカードの位置を半分は把握している。

訳も分からないうちにからめとられて好きなようにやられてしまった。

「……ゲームセットだ」

シュウくんが小さく呟いたのを聞いて、私の心も折れてしまいそうだった。