「私の番になって30秒ホルツェがカードを選ばなかったら、パスでいいわよ」

本気なのだろうか。ゲーム自体が成立することすら怪しいと私は感じてしまう。

「本当にそのネコが選んだカードをめくるのかよ。代わりにめくるんだから別の場所のカードをめくったりはしないんだよな」

さすがシュウくんはよく気が付いている。

ルルリちゃんが代わりにめくるんだから、ネコが選んだカード以外をめくることができるのかをちゃんと決めておかないといけない。

「もちろん、ホルツェが選んだ場所にあるカード以外をめくったら私の負けでいいわよ」

えっ、そこまで断言しちゃうの。それじゃあ本当に人間対ネコの神経衰弱勝負になる。

「ふふ、私もこの『マッチング・ポイズン』をやるのは初めてだけど、このぐらいハンデをあげないと賭けるお客様も楽しめないでしょう」

憎らしいほどの素敵な笑顔を浮かべながらルルリちゃんは続ける。

「逆にあなたにカードを覗くみたいな怪しい行動があった場合は私から指摘して審判に判断してもらうわよ」

ルルリちゃんの申し出を受けて司会の黒服も口を開く。

「はい、もちろん、カードを覗くなどの怪しい行動を見つけた場合はその場で指摘していただければ、私が審判いたします」

まあ、カードをめくって数字を覗くなんて行為はありえないけど、怪しい行動には気を付けないといけない。

「最後に、これ以降ルールを付け加える場合は私たち3人全員の同意を得るということでいい?」

「ああ、いいぜ」

シュウくんが了解したのを見て私も頷く。

「なんとネコがカードを選ぶ意外な展開とは面白くなってきました。それでは脱出デスゲーム『マッチング・ポイズン』スタートです」