「ゲームはマッチング役がトランプを裏返し、同じ数字であればその合わせた2枚のカードを取ることができます」

そこまでは通常の神経素弱だ。

「ハートとダイヤ、赤の数字がそろえば対戦相手に、クラブとスペード、黒の数字がそろえば自分達のポイズン役にその数字の分量の毒が注入されることになります」

「おい、赤と黒の数字で揃った時やジョーカーはどうなるんだ」

「はい、その赤と黒でそろった時はお互いに毒の注入はありません。また今回使用するトランプにジョーカーは入っておりません」

つまり毒の注入を防ぐなら、できるだけ赤と黒の数字で合わせる必要がある。

「……おい、(あおい)、このゲームのルール相当いかれてるぞ」

もちろん毒を注入されるのだから、狂ったルールだとは思うけれどシュウくんの言っているのはそのことではないような気がした。

たぶん私がまだ気がついていないこのデスゲームの恐ろしさを発見したんだと思う。

「そして、こちらが最も重要になりますが、このゲームの勝利条件です」

司会がひときわ声を張り上げてマイクでアナウンスする。

「ゲーム終了時点でマッチング側は相手よりカードをたくさんゲットしていることです」

これも通常の神経衰弱と同じルールだ。

「そして、ポイズン側はなんとゲーム終了時点で生きていれば勝利となります。寛大なルールですよ。よかったですね」

「はあ?」

「しかし、気を付けてくださいね。ポイズン役がすべてのカードをめくる前に死んでしまうとその時点でもゲーム終了となります」

さすがの私もこのルールのいやらしさが理解できた。