「はあ、親友? バカ言わないでよ。(あおい)みたいな母子家庭の貧乏人が何で私と親友になれるのよ」

小馬鹿にするように恵理は吐き捨てる。

「もともと私の引き立て役として使ってやろうと思ってただけなのに。私が誘って応募したアイドルのオーディションには(あおい)だけが受かって」

恵理の表情が憎々しげなものに変わり、声にも怒りが込められていく。

「芸能人になったらクラスでの人気は逆転して、私が好きだった武志君まであなたに引き寄せられて」

うそ、武志君が私のことを。恵理があんなにアプローチしてたのに。

「わたし、(あおい)への嫉妬で毎日気が狂いそうだった!」

恵理が私のことをそんな風に思っていたなんて、少しも気が付かなかった。

「でも、このデスゲームですべてが報われた。私は芸能人のあなたを演技で騙しきったのよ。ざまあみろ!」

恵理が勝ち誇ったように大声で叫ぶ。

恵理の言うとおりだった。恵理は演技で騙して私に勝ったんだ。

私は自分の両手を目の前に持ってくる。

手の感覚が冷たくてもうほとんどない。部屋の薄暗いライトに照らされたてのひらは既に青白く死人のものになりつつあった。

「いやだ、いやだ、いやだ、私はこれからもっともっといろんな人を感動させるアイドルになりたいのに。こんなところで死ねない!」

「それでは第4ゲーム勝者の皆さま、次の部屋にお進みください」

もう、私が死んだかのように恵理たちを次の部屋に案内するアナウンスがスピーカーから響く。

するとロックされていた部屋の扉がゆっくりと開いた。