これであっという間に1ゲーム目が終わり。

残りは3ゲーム。

私と真桑は開いたテーブルの穴に6つのキューブを入れる。

せりあがってきた6つのキューブを私は手元に引き寄せて、ひとつのキューブを選んだ。

「それでは第2ゲーム、両者キューブはオープンするか?」

私と真桑はお互いに頷く。

「では、キューブオープン」

私はキューブを真桑に向かってオープンする。

真桑の数字は2だ。

第2ゲームは私が賭け側なので同じ数字は真桑の勝ち、だとすると勝てる数字は3,4,5,6だ。

今回は私の勝てる可能性が高い。

「ふふ、有月さん、いくら賭けるの?」

「ひゃ、150万賭けます」

今の時点で真桑に負けているのはテレビの100万と第1ゲームの50万で150万だ。

これで勝てればイーブンになる。

「すごいね。150万なんて。僕のキューブの数字はよっぽど悪いのかな。これは慎重に考えないといけないね」

言葉とは反対に真桑はとても余裕がある雰囲気だ。賭け額が多いので降りるかどうか考えているのだろう。

「うん、有月さんの150万受けるよ」

「えっ、受けるの?」

「おいおい、有月さんが提示した金額なのになんで君の方が驚いてるんだよ」

おかしい。簡単に受けすぎだ。

少なくともそんなに余裕をもって受けられる額ではない。

それほど私の数字は悪いのだろうか。

いや、そう思わせるための演技かもしれない。さっきも私は勝っていたのに真桑の演技に押されてしまったのだ。

「それでは掛け金成立だ。お互いに数字をオープンしろ」

私はゆっくりと自分のキューブを数字が見えるように倒した。

私の数字は2。真桑の数字も2。引き分けの場合は受け側の勝ちなのでまた私の負けだ。

「やあ、僕の数字も2だったんだね。危なかったなあ。でもぎりぎり勝てて良かったよ」

目の前の光景がゆがんだ。

まだこのゲームが始まって5分ほどしかたっていないのにもう200万も失ってしまった。

マイナスも180万あるからあと2ゲームでそれだけでも取り戻さないと私はアビス送りになってしまうのだ。

「ま、まだまだ、ここから逆転してやるんだから」

強気な言葉で言い切るつもりだったのに、自分でも驚くほど棒読みなセリフに私の精一杯な動揺が表れているようだった。