「結局、そいつは風呂に沈んで自殺したらしい。電撃も余計に死を呼び込むから考えたよな」

シュウくんはその自殺のせいで学園の浴場が自殺防止のためにシャワーのみになったらしいと説明する。

「えっと、私のお金が残り20万だから、一日10時間は作業場で働かないとすぐにお金がなくなっちゃうのかな」

「いや、生活必需品も売店で買わないといけないから、特に女子は結構金がいるぞ」

「えっ、そういえばその服」

シュウくんの服はよく見るとどれだけ着続けていたのか色も抜けてぼろぼろだ。

嫌だ。服も下着も替えずにみすぼらしい見た目になるのは耐えられない。

「それでは皆さん、デスゲームの時間がやってまいりました。遊戯室の方に集まってください」

スピーカーから弾んだ声が部屋じゅうに響いた。

運営の楽しげな声とは反対にクラスのみんなは重々しく部屋から出ていく。

「行くぞ、デスゲームは全員参加だからな」

いきなりの展開に私は残ったおにぎりを慌てて口に詰め込む。

「生き残れよ。ここが正念場だぞ」

「どういうこと?」

「デスゲームで観客からもらえる投げ銭がこの学園での最大の収入源だからな」

そういえば私がここに来る前のデスゲームでも負けた私に120万もの投げ銭がもらえたんだ。

そう考えるとデスゲームで視聴者を沸かせるプレイができれば脱出に必要なお金も稼げるかもしれない。

けれども、私はすぐにそんな楽観的な考えを捨てた。

だって、これから行われるデスゲームには本当に命がかかるんだから。

「芸能人なんだろ。対戦相手をうまく演技でだまして大金をゲットしろよ」

シュウくんが真面目な口調で私の背中をポンと叩いた。

彼の笑顔につられてゆっくり頷くが、私はまだこのとき彼の言葉の真意を理解できなかった。